富山県内で管工事業を営んでおられる社長様、そして現場の第一線でご活躍の技術者の皆様、日々の業務、誠にお疲れ様です。 夏の猛暑や冬の厳しい寒さから人々を守る空調設備、日々の暮らしに欠かせない清潔な給排水設備、そして安全なガス供給。皆様が手掛ける「管工事」は、私たちの快適で衛生的な生活を支える、まさに社会の「血管」ともいえる極めて重要な役割を担っています。
その社会的な役割の大きさと技術の専門性を示すものが、「建設業許可」です。
「うちは水道局の指定は受けているけど、建設業許可も必要なのか?」 「専任技術者になれる資格が多すぎて、うちの社員が持っている資格で大丈夫なのか分からない」 「急な修理依頼や現場対応に追われ、許可手続きのことまで手が回らない」
このようなお悩みや疑問をお持ちの経営者様は、決して少なくありません。
そこで今回は、私たちの生活に密着した「管工事」にテーマを絞り、許可取得の心臓部ともいえる「専任技術者」の要件について、専門家である行政書士が、基礎からじっくりと、分かりやすく解説いたします。
この記事を最後までお読みいただければ、管工事の許可に必要な技術者の条件がクリアになり、ご自身の会社が許可取得に向けて何をすべきか、その道筋がはっきりと見えてくるはずです。
「管工事」とは?建設業許可における定義と工事の例
まず、「管工事」が建設業法でどのように定められているかを見ていきましょう。
【管工事の定義】
冷暖房、冷凍冷蔵、空気調和、給排水、衛生等のための設備を設置し、又は金属製等の管を使用して水、油、ガス、水蒸気等を送配するための設備を設置する工事
非常に幅広い内容を含んでいますが、簡単に言うと「人々の快適な生活や産業活動のために、管(くだ)を使って様々なものを送る設備を作る工事」全般を指します。
- 冷暖房設備工事、エアコン設置工事
- 空気調和(空調)設備工事
- 給排水・給湯設備工事(キッチン、トイレ、お風呂など)
- 衛生設備工事(便器や洗面台などの設置)
- ガス管配管工事
- 換気ダクト工事
- 管内更生工事(既存の管を内側から補修する工事)
これらの工事を、1件の請負代金が500万円(税込)以上で請け負う場合、法人・個人事業主を問わず、「建設業許可」の取得が法律で義務付けられています。
《少し寄り道》「管工事」と「水道施設工事」の違いって?
管工事業者様から特によくいただく質問が、「水道施設工事との違い」です。この二つは混同されやすいですが、法律上は明確に区別されています。
- 管工事: 主に「敷地内」の配管工事。例えば、公道に埋設された配水管から分岐して、皆様のご家庭の蛇口までをつなぐ配管工事などです。
- 水道施設工事: 主に「公道部分」の工事や大規模な施設工事。例えば、公道の下に配水管を布設したり、浄水場や下水処理場そのものを作ったりする工事です。
皆様が手掛けている工事の多くは「管工事」に該当するかと思いますが、もし判断に迷う場合は、私たち専門家にご相談ください。
最重要関門!「専任技術者」になるための資格と経験
さて、本題の「専任技術者」の要件について見ていきましょう。 専任技術者とは、「許可を受けたい営業所に常勤し、管工事に関する専門的な知識や経験を持つ技術者」のこと。会社の技術力を公的に証明する、許可制度の根幹をなす存在です。
この「専任技術者の要件」を満たす方法は、主に「国家資格」で証明する方法と「実務経験」で証明する方法があります。管工事の場合、対象となる資格の種類が多いのが特徴です。
パターン1:国家資格で要件をクリアする
管工事の専任技術者として認められる国家資格は以下の通りです。これだけ選択肢があると、ご自身や従業員の方の資格が使えるのか、判断に迷うこともあるかと思います。ぜひ、じっくりとご確認ください。
- 1級管工事施工管理技士 または 2級管工事施工管理技士
- 技術士
- 機械部門(選択科目:流体工学 または 熱工学)
- 上下水道部門
- 総合技術監理部門(選択科目:上記に同じ)
- 給水装置工事主任技術者
- 免許の交付を受けた後、1年以上の管工事に関する実務経験が必要です。
- 職業能力開発促進法に基づく技能検定
- 配管 / 配管工 / 建築板金(ダクト板金作業) / 冷凍空気調和機器施工 / 給排水衛生設備配管
※それぞれ1級、または2級合格後3年以上の実務経験が必要です。
- 配管 / 配管工 / 建築板金(ダクト板金作業) / 冷凍空気調和機器施工 / 給排水衛生設備配管
《ここがポイント!》
管工事の許可取得の王道は「管工事施工管理技士」ですが、他にも多くの資格が認められています。特にご注意いただきたいのが、「給水装置工事主任技術者」の場合は1年以上、技能検定の2級の場合は3年以上といったように、資格取得後に一定の実務経験が求められるケースがある点です。ご自身の資格証と経歴を照らし合わせて確認することが重要です。
パターン2:実務経験のみで要件をクリアする
「該当する資格者はいないが、この道一筋のベテランならいる」という会社様も多いでしょう。その豊富な経験を書類で証明することで、専任技術者の要件を満たす道も残されています。
- 学歴不問の場合
・10年以上の管工事に関する実務経験 - 指定学科を卒業している場合
・大学・高等専門学校の指定学科卒業後 → 3年以上の実務経験
・高等学校・中等教育学校の指定学科卒業後 → 5年以上の実務経験
《指定学科とは?》
ここでいう「指定学科」とは、土木工学、建築学、機械工学、都市工学、衛生工学に関する学科です。卒業証明書などで、これらの学科を修了したことを証明する必要があります。
《実務経験の証明こそ、最大の難関》
実務経験で許可を取得しようとする際に、誰もが直面する最大の壁が、この「経験を客観的な書類で証明する」プロセスです。
審査窓口では、「私は若いころからずっと配管工として働いてきました」という自己申告だけでは、残念ながら許可は下りません。その期間、継続して管工事に携わってきたことを、客観的な「書類」で裏付ける必要があります。
- 工事請負契約書
- 注文書と請書
- 請求書の控え(工事内容が明記されているもの)と、その入金が確認できる預金通帳の写し
これらの書類を、証明したい期間分(例えば10年分なら、1年に1件以上のペースで、期間が途切れないように)探し出し、整理して提出する作業は、日々の業務に追われる中で行うには、あまりにも大きな負担となります。
面倒な手続きは専門家に任せ、社長は本業に集中してください
ここまでお読みいただき、「要件の種類が多すぎて頭が痛い」「書類集めなんて考えたくない」と感じられたのではないでしょうか。そのお気持ち、痛いほどよく分かります。
社長様の貴重な時間は、急な修理依頼への対応や、お客様との綿密な打ち合わせ、そして社員の育成など、会社の未来を創る業務にこそ使われるべきです。不慣れな書類仕事に時間を奪われてしまうのは、会社にとって大きな損失です。
そんな時こそ、「行政書士」の出番です。 富山県で建設業許可を専門に扱う「行政書士子浦昇事務所」に、その煩雑な手続きをすべてお任せください。
建設業許可は、一度取得すれば安泰ではありません。5年ごとの更新を忘れてしまうと、許可は失効してしまいます。そうした未来のリスク管理も含め、私たちを会社の法務パートナーとしてご活用いただければ幸いです。
まとめ:富山県の管工事許可なら、私たちにご相談ください
今回は、私たちの生活に不可欠な「建設業許可 管工事」における、複雑な「専任技術者の要件」について詳しく解説しました。
- 管工事とは、空調、給排水、ガス管など、建物の快適性と衛生を支える重要な工事です。
- 専任技術者の要件は「国家資格」か「実務経験」で証明しますが、特に資格要件が多岐にわたります。
- 同じ国家資格でも、種類によって単独でOKなものと、1年または3年以上の実務経験が追加で必要なものがあるため、注意が必要です。
- 実務経験の証明には、長期間分の契約書や請求書などの客観的な書類が必須となり、準備が非常に大変です。
複雑に張り巡らされた配管のように、許可の要件もまた複雑です。その一つ一つを正確に解きほぐし、手続きを進めるのは大変な労力を要します。もし少しでも「難しい」「面倒だ」「自社の場合はどうだろう?」と感じられたなら、それは専門家に相談するサインです。
富山県での建設業許可の取得や更新手続きでお困りの方は、ぜひ当事務所へお気軽にご相談ください。 お客様の事業という大切な「血管」が、これからも健やかに流れ続けられるよう、法務面から力強くサポートさせていただきます。
ご相談やお仕事のご依頼は下のウェブサイトからお問い合わせください!
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