富山県内で鉄筋工事業を営んでおられる社長様、そして日々、現場で黙々と鉄筋を組み上げておられる職人の皆様、業務お疲れ様です。 完成すればコンクリートに隠れて見えなくなる部分だからこそ、一切の妥協が許されない「鉄筋工事」。皆様の正確無比な仕事が、建物の強度を決定づけ、そこに住まう人々の百年先までの安全を支えています。まさに、建物の「骨格」を創る、極めて重要な仕事です。
その見えない部分での確かな技術と信頼を、社会に対して「見える形」で証明するのが「建設業許可」です。
「うちはずっと下請けだから、許可はまだ考えていなかった」 「専任技術者になれるのは、どんな資格を持った人間なんだろう?」 「毎日、人員の手配や現場の段取りで手一杯で、書類仕事まで手が回らない」
このようなお悩みや疑問を抱えながら、日々の業務に奮闘されている経営者様も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、建物の安全性の根幹を担う「鉄筋工事」にテーマを絞り、許可取得の心臓部ともいえる「専任技術者」の要件について、専門家である行政書士が、基礎からじっくりと、分かりやすく解説いたします。
この記事を最後までお読みいただければ、鉄筋工事の許可に必要な技術者の条件が明確になり、ご自身の会社が許可取得に向けて何をすべきか、その具体的なステップが見えてくるはずです。
「鉄筋工事」とは?建物の強度を支える仕事
まず、「鉄筋工事」が建設業法でどのように定められているかを見ていきましょう。
【鉄筋工事の定義】
棒鋼等の鋼材を加工し、接合し、又は組立てる工事
非常にシンプルですが、これは鉄筋コンクリート構造の骨組みを作るための、一連の作業を指します。
- 建築物や土木構造物の基礎、柱、梁、壁、床スラブなどの配筋工事
- 設計図に基づいた鉄筋の加工(切断、曲げ加工)
- 現場での鉄筋の組立(結束線による結束)
- 鉄筋の継手工事(ガス圧接継手、溶接継手、機械式継手など)
鉄筋工事は、かつて「とび・土工・コンクリート工事」の一部とされていましたが、その専門性の高さから独立した業種となりました。型枠工事、コンクリート工事と三位一体となって、強固な構造物を創り上げる、なくてはならない専門工事です。
これらの工事を、1件の請負代金が500万円(税込)以上で請け負う場合、法人・個人事業主を問わず、「建設業許可」の取得が法律で義務付けられています。
最重要関門!「専任技術者」になるための2つのルート
建設業許可を取得する上で、避けては通れないのが「専任技術者」の配置です。
専任技術者とは、「許可を受けたい営業所に常勤し、鉄筋工事に関する専門的な知識や経験を持つ技術者」のこと。会社の技術力を公的に証明し、許可の信頼性を担保する、いわば「技術の要」となる人物です。
この「専任技術者の要件」を満たす方法は、大きく分けて「国家資格」で証明する道と、地道な「実務経験」で証明する道の2種類があります。
パターン1:国家資格で要件をクリアする
鉄筋工事の専任技術者として認められる国家資格は以下の通りです。対象となる資格は比較的限られていますが、これらの資格を持つ方が社内にいれば、スムーズに要件をクリアすることが可能です。
- 1級建築施工管理技士 または 2級建築施工管理技士(種別:躯体)
- 登録鉄筋基幹技能者
- 職業能力開発促進法に基づく技能検定
- 1級建築施工管理技士 または 2級建築施工管理技士(種別:躯体)
- 登録鉄筋基幹技能者
- 職業能力開発促進法に基づく技能検定
- 1級、または2級合格後3年以上の実務経験が必要です。
《ここがポイント!》
2級建築施工管理技士の資格をお持ちの方は、ご自身の資格証をご確認ください。種別が「躯体」「仕上げ」などに分かれており、この工事で認められるのは「躯体」の資格です。 また、専任技術者の資格として「技能検定」が非常に重要になります。「鉄筋施工」の技能検定2級をお持ちの場合は、合格後に3年以上の実務経験が別途必要となる点にご注意ください。近年では、実務経験と講習によって取得できる「登録鉄筋基幹技能者」も専任技術者の資格として認められています。
パターン2:実務経験のみで要件をクリアする
「資格を持っている社員はいないが、長年この道一筋のベテランならいる」という会社様も多いでしょう。その豊富な経験を書類で証明することで、専任技術者の要件を満たす道も残されています。
- 学歴不問の場合
- 10年以上の鉄筋工事に関する実務経験
- 指定学科を卒業している場合
- 大学・高等専門学校の指定学科卒業後 → 3年以上の実務経験
- 高等学校・中等教育学校の指定学科卒業後 → 5年以上の実務経験
《指定学科とは?》
ここでいう「指定学科」とは、土木工学または建築学に関する学科です。卒業証明書などで、これらの学科を修了したことを証明する必要があります。
《実務経験の証明こそ、最大の難関》
実務経験で許可を取得しようとする際に、誰もが直面する最大の壁が、この「経験を客観的な書類で証明する」プロセスです。
審査窓口では、「私は若いころからずっと鉄筋屋として働いてきました」という自己申告だけでは、残念ながら許可は下りません。その期間、継続して鉄筋工事に携わってきたことを、第三者が見ても納得できる客観的な「書類」で裏付ける必要があります。
- 工事請負契約書
- 注文書と請書(元請けからの注文書など)
- 請求書の控え(工事内容が明記されているもの)と、その入金が確認できる預金通帳の写し
鉄筋工事は、ゼネコンや工務店からの下請けとして工事に入ることが多い業種です。そのため、元請会社との間で交わした注文書や、提出した請求書の控えなどが、経験を証明する上で非常に重要な書類となります。 証明したい期間分(例えば10年分なら、1年に1件以上のペースで、期間が途切れないように)の書類を集めるのは、想像以上に骨の折れる作業です。この書類準備の段階で、多くの方が許可取得を断念しかけてしまいます。
面倒な手続きは専門家に任せ、社長は本業に集中してください
ここまでお読みいただき、「要件はだいたい分かった。でも、やっぱり手続きは面倒くさい」と感じられたのではないでしょうか。そのお気持ち、痛いほどよく分かります。
社長様の貴重な時間は、人員の手配や元請けとの打ち合わせ、現場の安全管理など、会社の利益に直結する業務に使われるべきです。不慣れな書類作成や役所とのやり取りに、その時間を費やすのは非常にもったいないことです。
そんな時こそ、「行政書士」の出番です。 富山県で建設業許可を専門に扱う私たちのような「行政書士子浦昇事務所」に、その煩雑な手続きをすべてお任せください。
建設業許可は、一度取得すれば安泰ではありません。5年ごとの更新を忘れてしまうと、許可は失効してしまいます。そうした未来のリスク管理も含め、当事務所を会社の法務パートナーとしてご活用いただければ幸いです。
まとめ:富山県の鉄筋工事許可なら、私たちにご相談ください
今回は、建物の安全性を根底から支える「建設業許可 鉄筋工事」における、「専任技術者の要件」について詳しく解説しました。
- 鉄筋工事は、棒鋼等を加工・組立し、建物の骨格を創る専門工事です。
- 専任技術者の要件は「国家資格」か「実務経験」の2パターン。
- 認められる資格には建築施工管理技士(躯体)や技能検定(鉄筋施工)、登録鉄筋基幹技能者などがあります。
- 資格がない場合、学歴に応じて3年・5年・10年以上の実務経験が必要ですが、その証明には長期間分の契約書や注文書などの客観的な書類が必須となり、準備が非常に大変です。
一本一本の鉄筋を正確に組むように、許可申請も一つひとつの要件を丁寧にクリアしていく必要があります。もし少しでも「難しい」「面倒だ」「自社の場合はどうだろう?」と感じられたなら、それは専門家に相談するサインです。
富山県での建設業許可の取得や更新手続きでお困りの方は、ぜひ当事務所へお気軽にご相談ください。 お客様の確かな技術と事業が、これからも富山の街の安全を支え続けられるよう、法務面から力強くサポートさせていただきます。
ご相談やお仕事のご依頼は下のウェブサイトからお問い合わせください!
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