こんにちは!富山の行政書士のSHIOです。

「建設業許可って、工事の種類が29もあるの!?」
「自分の仕事は、この中のどれを選べばいいんだろう…」
「『一式工事』ってよく聞くけど、あれさえ取っておけば、どんな工事もできるようになるの?」
一人親方さんから、建設業許可の「業種」について、こんなお悩みの声をよくお聞きします。確かに、29種類と聞くと、なんだかクラクラしてしまいますよね。
でも、大丈夫です! 今日は、この複雑そうに見える「工事の業種」について、特に一人親方(個人事業主)さんが知っておくべき大事なポイントだけを、ギュギュッと絞って、どこよりも分かりやすく解説します。この記事を読めば、あなたが選ぶべき「専門分野の看板」が、きっとスッキリと見えてきますよ。
1. なんで29種類もあるの?~あなたの「得意技」を示すため~
まず、「どうしてそんなに細かく分かれているの?」という疑問からお答えしましょう。
建設工事と一口に言っても、家を建てる大工さんの仕事もあれば、壁をピカピカに塗る塗装屋さんの仕事、電気を通す電気屋さんの仕事など、本当に色々な専門分野がありますよね。
この29種類の業種分けは、例えるなら、あなたが「私はこの分野のプロフェッショナルです!」と、胸を張って得意技を示すための「看板」のようなものです。 お客様や元請けさんが、「この工事なら、この専門のプロにお願いしたい」と、安心して仕事を選べるようにするための、大切な目印にもなっているのです。
2. 超重要!「一式工事」と「専門工事」って、一体どう違うの?
さて、29種類の業種がありますが、実はこれ、大きく分けるとたったの2つのグループしかありません。それが、「一式工事」と「専門工事」です。この違いを理解することが、業種選びの最大のポイントです。
専門工事(全部で27種類あります)
あなたの「得意な専門分野」はどれですか?
これは、その名の通り、特定の専門技術を使って行う工事のことです。例えば…
- 大工さんが木材を加工して家を組み立てるなら → 大工工事業
- 塗装屋さんが外壁や屋根にペンキを塗るなら → 塗装工事業
- 内装屋さんが壁紙(クロス)を貼ったり、床を仕上げたりするなら → 内装仕上工事業
- 電気屋さんが配線をしたり、照明器具を取り付けたりするなら → 電気工事業
- 水道屋さんが給排水設備や空調設備を設置するなら → 管工事業
他にもたくさんありますが、イメージとしては、料理の世界で「ラーメン専門店」「お寿司専門店」「天ぷら専門店」といったように、「〇〇工事のプロフェッショナル」という感じです。一人親方さんが最初に取得するのは、ほとんどの場合、この「専門工事」のどれかになります。
一式工事(2種類だけです)
工事全体の「まとめ役」!
こちらは少し特別な許可で、以下の2つしかありません。
- 建築一式工事業: 総合的な企画、指導、調整のもとに建築物(家やビルなど)を建てる工事。
- 土木一式工事業: 総合的な企画、指導、調整のもとに土木工作物(道路、橋、ダムなど)を造る工事。
この「一式工事」の役割は、例えるなら「工事全体の監督さん」や「オーケストラの指揮者」です。個別の専門作業をコツコツ行うというよりは、たくさんの専門業者さんをまとめ上げ、大きなプロジェクトをスムーズに完成へと導く、いわば「工事の総合プロデューサー」のような立場に必要な許可です。
3.【ここが一番の勘違いポイント!】「建築一式」取れば、専門工事も全部できるの?

それなら、『建築一式工事』の許可さえ取ってしまえば、大工工事も塗装工事も内装工事も、全部500万円以上の仕事ができるようになるんでしょ?その方がお得じゃない?
これは、非常によくある、そして最も大きな誤解です。
答えは、基本的には「ノー!」です。
- 「一式」はオールマイティな許可ではありません。 「建築一式工事」の許可は、あくまで「元請けとして建築物全体をマネジメントする」ための許可であり、個別の専門工事を行うための万能な許可ではないのです。
- 専門工事を単独で請け負うには、その専門の許可が必要! もし、「建築一式工事」の許可を持っている会社が、単独で「塗装工事だけ」を500万円以上で請け負いたい場合は、原則として別途「塗装工事業」の許可が必要になります。 同じように、「電気工事だけ」を500万円以上で請け負いたいなら「電気工事業」の許可が、「管工事だけ」なら「管工事業」の許可が、それぞれ必要になってくるのです。 「一式工事」の許可は、その中に含まれる専門工事の許可を全部まとめてカバーしているわけではない、ということを、しっかりと覚えておいてください。
4. 専任技術者(工事のプロ)の条件も、業種によって違うの?
はい、その通りです。これも大切なポイントです。 建設業許可を取得するためには、その工事の専門家である「専任技術者」を置く必要がありますが、この専任技術者になるための資格や実務経験の条件は、29の業種それぞれで異なっています。
ここは深掘りすると大変なので、簡単に概要だけお伝えしますね。
- 例えば、「塗装工事」の専任技術者になるための条件(資格や経験年数)と、「電気工事」の専任技術者になるための条件は、当然ながら違います。それぞれの専門性が異なるからです。
- 一般的に、「一式工事」の専任技術者になるための資格は、専門工事のそれよりも難しいもの(例えば、1級建築施工管理技士や1級建築士など)が求められることが多い傾向にあります。
- ですから、「自分はこの業種の許可を取りたいんだけど、どんな資格や経験が必要なんだろう?」と、取得したい業種ごとに、ピンポイントで条件を確認する必要があります。
5. 自分はどの業種を選べばいいの?~3つのヒントで絞り込もう~
ここまで読んで、「じゃあ、結局自分は何を選べばいいんだ…」と、かえって不安になったかもしれませんね。 でも大丈夫、選び方のヒントはシンプルです。次の3つの質問をご自身に問いかけてみてください。
- あなたが一番得意で、普段メインで行っている工事は何ですか? → まずは、これまでのあなたの「実績」と「得意技」から考えるのが基本です。
- 元請けさんは、どんな工事内容であなたに許可を期待していますか? → 許可取得を勧めてくれた元請けさんに、直接確認するのが一番確実で早いです。
- これから、どんな工事でステップアップしていきたいですか? → 将来の夢や目標も、業種選びの大切なヒントになります。
これらの質問の答えを整理していくと、あなたが取得すべき業種の輪郭が、きっと見えてくるはずです。
まとめ:あなたの「専門看板」を正しく掲げましょう!
建設業許可の29種類の業種。それは、あなたが社会に対して「私はこの道のプロフェッショナルです!」と自信を持って示すための、大切な「看板」です。 「一式工事」と「専門工事」の違いをしっかりと理解し、あなたにピッタリ合った業種の許可を取得することが、これからの事業発展の大きなカギを握っています。
もし、「自分の場合はどの業種になるんだろう…」「この仕事とあの仕事をやりたいんだけど、業種はどうなるの?」と具体的に迷ってしまったら、私たち行政書士のような専門家に、遠慮なく相談してくださいね。あなたの状況をしっかりとお聞きして、最適な「看板」選びのお手伝いをさせていただきます。