富山県内で屋根工事業を営んでおられる社長様、そして厳しい環境下で作業にあたる職人の皆様、日々の業務、誠にお疲れ様です。 夏の厳しい日差し、冬の重い積雪、そして一年を通しての降雨から、私たち県民の暮らしと財産を守る「屋根工事」は、まさに地域の安全を第一線で支える、誇り高い仕事であると私は常々感じております。
その重要な役割を担う皆様が、事業を安定して継続し、さらなる信頼を獲得していくために不可欠なのが「建設業許可」です。
「うちは昔から付き合いのあるお客さんばかりだから、許可はまだいいかな…」 「許可が必要なのは知っているけど、毎日忙しくて手続きまで手が回らない」 「専任技術者っていうのが、うちの会社にいるのかどうかも分からない」
このような状況に置かれている経営者様も、決して少なくないのではないでしょうか。
そこで今回は、皆様の事業に直結する建設業許可のうち「 屋根工事」にテーマを絞り、許可取得の最大のカギとなる「専任技術者」の要件について、専門家である行政書士が、基礎の基礎から詳しく、分かりやすく解説いたします。
この記事を最後までお読みいただければ、屋根工事の許可に必要な技術者の条件がスッキリと整理でき、ご自身の会社が今何をすべきかの道筋が見えてくるはずです。
「屋根工事」とは?建設業許可における定義と工事の例
まず、一言で「屋根工事」といっても、建設業法ではどのように定義されているかを見ていきましょう。
【屋根工事の定義】
瓦、スレート、金属薄板等により屋根をふく工事
非常にシンプルですが、要するに「様々な材料を使って屋根を仕上げる工事」全般を指します。富山県の気候を考えると、その材料や工法も多岐にわたりますね。
- 瓦屋根の葺き替え、補修、漆喰の補修工事
- スレート屋根(コロニアル、カラーベストなど)の施工、補修工事
- ガルバリウム鋼板などの金属屋根の施工、カバー工法
- 屋根の断熱工事
- 屋根一体型の太陽光パネル設置工事
- 雨樋(あまどい)の設置、交換工事
《注意点》
屋根工事とよく似た工事に「板金工事」や「防水工事」があります。金属製の屋根材を用いる工事は「屋根工事」ですが、外壁への水切り板金の設置などは「板金工事」に分類されます。また、屋根の防水処理を主目的とするアスファルト防水やシート防水などは「防水工事」に該当します。自社の工事がどの業種に当てはまるか不明な場合も、お気軽にご相談ください。
これらの工事を1件の請負代金が500万円(税込)以上で請け負う場合、法人・個人事業主を問わず、「建設業許可」の取得が法律で義務付けられています。
最重要ポイント!「専任技術者」になるための2つのルート
建設業許可を取得する上で、避けては通れないのが「専任技術者」の配置です。
専任技術者とは、「許可を受けたい営業所に常勤し、屋根工事に関する専門的な知識や経験を持つ技術者」のこと。会社の技術力を公的に証明し、許可の信頼性を担保する、いわば「技術の要」となる人物です。
この専任技術者の要件を満たす方法は、大きく分けて「国家資格」で証明する道と、地道な「実務経験」で証明する道の2種類があります。
パターン1:国家資格で要件をクリアする
屋根工事の専任技術者として認められる国家資格は以下の通りです。これらの資格を持つ方が社内にいれば、実務経験の年数を問わず、比較的スムーズに要件をクリアすることが可能です。
- 1級建築施工管理技士 または 2級建築施工管理技士
- 1級建築士 または 2級建築士、木造建築士
- 職業能力開発促進法に基づく技能検定
- かわらぶき / スレートぶき(1級、または2級合格後3年以上の実務経験)
- 板金(建築板金作業)/ 板金工(建築板金作業)(1級、または2級合格後3年以上の実務経験)
《ポイント》
「長年の経験と腕には自信があるけれど、資格となると…」という社長様や職人さんは本当に多いです。しかし、ご自身の経歴を振り返ってみると、知らず知らずのうちに技能検定に合格していた、というケースもございます。ぜひ一度、資格証や合格証を探してみてください。 技能検定の2級をお持ちの場合は、合格後に3年以上の屋根工事に関する実務経験が別途必要となる点にご注意ください。
パターン2:実務経験で要件をクリアする
「資格を持っている社員はいない…」という場合でも、決して諦める必要はありません。長年の現場経験は、資格と同じくらい価値のあるものです。その経験を書類で証明することで、専任技術者の要件を満たすことができます。
- 学歴不問の場合
- 10年以上の屋根工事に関する実務経験
- 指定学科を卒業している場合
- 大学・高等専門学校の指定学科卒業後 → 3年以上の実務経験
- 高等学校・中等教育学校の指定学科卒業後 → 5年以上の実務経験
《指定学科とは?》
ここでいう「指定学科」とは、建築学または土木工学に関する学科を指します。卒業証明書や成績証明書で、これらの学科を修了したことを証明します。
《実務経験の証明こそ、最大の難関》
実務経験で「 専任技術者の要件」をクリアしようとする際に、誰もが直面する最大の壁が、この「経験を客観的な書類で証明する」というプロセスです。
「私は若いころからずっと屋根屋として働いてきました」というお話だけでは、残念ながら認めてもらうことはできません。その期間、継続して屋根工事に携わってきたことを、第三者が見ても納得できる「書類」で裏付ける必要があります。
- 工事請負契約書
- 注文書と請書
- 請求書の控え(工事内容が明記されているもの)と、その入金が確認できる預金通帳の写し
特に、一般の住宅工事をメインに手掛けている場合、「お客様との間で正式な契約書を交わしていない」「請求書は簡素なもので、詳しい工事内容まで書いていない」といったことがよくあります。 証明したい期間分(例えば10年分なら、1年に1件以上のペースで、期間が途切れないように)の書類を集めるのは、想像以上に骨の折れる作業です。この書類準備の段階で、多くの方が許可取得を断念しかけてしまいます。
面倒な手続きは専門家に任せ、社長は現場に集中してください
ここまでお読みいただき、「要件はだいたい分かった。でも、やっぱり手続きは面倒くさい」と感じられたのではないでしょうか。そのお気持ち、よく分かります。
社長様の貴重な時間は、天候を読みながらの現場管理、お客様への丁寧な説明、そして社員の安全確保といった、本来の業務に使われるべきです。不慣れな書類作成や役所とのやり取りに、その時間を費やすのは非常にもったいないことです。
そんな時こそ、「行政書士」の出番です。 富山県で建設業許可を専門に扱う「行政書士子浦昇事務所 」に、その煩雑な手続きをまるごとご依頼いただくことで、お客様は計り知れないメリットを手にすることができます。
建設業許可は、一度取れば終わりではありません。5年ごとの更新を忘れてしまうと、許可は失効してしまいます。そうした未来のリスク管理も含め、当事務所を会社の頼れるパートナーとしてご活用ください。
富山県の屋根工事許可なら、行政書士子浦昇事務所にご相談ください
今回は、「屋根工事」に不可欠な「専任技術者の要件」について、詳しく解説しました。
- 屋根工事とは、瓦やスレート、金属薄板などで屋根をふく工事全般を指します。
- 専任技術者になるには「国家資格」か「実務経験」のどちらかを満たす必要があります。
- 認められる資格には建築施工管理技士や建築士、技能検定(かわらぶき、板金など)があります。
- 資格がない場合、学歴に応じて3年・5年・10年以上の実務経験が必要ですが、その証明には長期間分の契約書や請求書などの客観的な書類が必須となり、準備が非常に大変です。
厳しい自然環境から暮らしを守る屋根のように、建設業許可は皆様の会社を様々なリスクから守る盾となります。もし少しでも「難しい」「面倒だ」「自社の場合はどうだろう?」と感じられたなら、どうか一人で抱え込まず、私たち専門家にご相談ください。
富山県での建設業許可の取得や更新手続きでお困りの方は、ぜひ当事務所へお気軽にご相談ください。 お客様の事業が、この先も長く地域社会に貢献し続けられるよう、法務面から力強くサポートさせていただきます。
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