富山県内で石工事業を営んでおられる社長様、職人の皆様、日々の業務、誠にご苦労様です。 石という、何世代にもわたって形を残す素材を扱い、その確かな技術で建造物の美観や風格、そして人々の想いを形にしていく皆様の仕事は、まさに職人技の結晶と呼べるものでしょう。
石のように永続的な仕事を手掛ける皆様だからこそ、ご自身の会社の経営基盤も、盤石なものにしておきたいとお考えのことと存じます。その経営基盤を支える上で、法律上避けては通れないのが「建設業許可」です。
「うちは墓石がメインだから、建設業許可は関係ないと思っていた…」 「先代から引き継いだけど、許可の要件がよく分からない…」
特に、許可取得の要となる「専任技術者」の要件は複雑で、多くの方が頭を悩ませるポイントです。
そこで今回は、専門性の高い「石工事」に焦点を絞り、建設業許可を取得するために不可欠な「専任技術者」の要件について、行政書士である私が、どこよりも分かりやすく丁寧にご説明いたします。
この記事をお読みいただければ、建設業許可(石工事)に必要な技術者の条件が明確になり、ご自身の会社が何をすべきかが見えてきます。そして、手続きの複雑さに直面した際の、頼れる道しるべとなるはずです。
そもそも「石工事」とは?建設業許可における定義と具体例
まず、「石工事」が建設業法でどのように定められているかを見てみましょう。
【石工事の定義】
石材(石材に類似のコンクリートブロック及び擬石を含む。)の加工又は積方により工作物を築造し、又は工作物に石材を取付ける工事
少し硬い表現ですが、要するに「石材やコンクリートブロックなどを加工したり、積んだり、貼り付けたりする工事」全般を指します。これには、皆様が手掛けている多くの工事が含まれます。
- 建物の内外装の石張り工事(御影石や大理石など)
- コンクリートブロック積み、レンガ積み工事
- 石積み、石垣の構築や修復工事
- 墓石の建立、記念碑の設置工事
- 石鳥居の設置工事
- その他、石材を主体とした外構工事など
富山県内でも、伝統的なお墓の建立から、近代的なビルの外壁工事、公共施設のモニュメント設置まで、様々な石工事が行われています。これらの工事を、1件の請負代金が500万円(税込)以上で請け負う場合は、個人事業主・法人を問わず、「 建設業許可」を取得することが法律で定められています。
「うちの仕事は500万円もいかない」と思っていても、大きな墓石工事や外構工事が重なれば、超える可能性は十分にあります。将来の事業拡大を見据え、早めに許可を取得しておくことは、会社の信用力向上にも繋がります。
最重要ポイント!「専任技術者」になるための2つの道
建設業許可を取得する上での最大の関門の一つが、「専任技術者」を営業所に常勤で配置することです。
専任技術者とは、その名の通り「営業所に常に勤務し、許可を受けようとする工事について専門的な知識や経験を持つ技術者」のこと。会社の技術力を公的に証明する、いわば「技術の番人」のような存在です。
この専任技術者の要件を満たす方法は、大きく分けて「国家資格」で証明する方法と、地道な「実務経験」で証明する方法の2つのルートがあります。
パターン1:国家資格で要件をクリアする
石工事の専任技術者として認められる国家資格は以下の通りです。これらの資格をお持ちの方が社内にいれば、実務経験を問われることなく、スムーズに要件をクリアできます。
- 1級土木施工管理技士 または 2級土木施工管理技士
- 1級建築施工管理技士 または 2級建築施工管理技士
- 技術士法による技術士(建設部門)
- 職業能力開発促進法に基づく技能検定
- ブロック建築 / ブロック建築工 / コンクリート積みブロック施工(1級、または2級合格後3年以上の実務経験)
- 石工 / 石材施工 / 石積み(1級、または2級合格後3年以上の実務経験)
《ポイント》
石工事では、土木と建築、両方の施工管理技士資格が認められています。また、技能検定の種類も複数あるのが特徴です。ご自身や従業員の方がお持ちの資格が、この中に含まれていないか、ぜひ一度ご確認ください。 「石を加工・施工する技術は誰にも負けないが、資格となると話は別…」という職人さんは非常に多いです。資格がないからと諦める前に、次の方法をご確認ください。
パターン2:実務経験で要件をクリアする
資格がない場合でも、長年の経験は立派な財産です。その経験を公的に証明することで、専任技術者の要件を満たすことができます。ただし、必要となる経験年数は最終学歴によって異なります。
- 学歴不問の場合
- 10年以上の石工事に関する実務経験
- 指定学科を卒業している場合
- 大学・高等専門学校の指定学科卒業後 → 3年以上の実務経験
- 高等学校・中等教育学校の指定学科卒業後 → 5年以上の実務経験
《指定学科とは?》
ここでいう「指定学科」とは、土木工学または建築学に関する学科です。卒業証明書などで、これらの学科を修了したことを証明する必要があります。
《実務経験の証明こそ、最大の難関》
実務経験で「 専任技術者の 要件」をクリアしようとする際に、最も時間と労力がかかるのが、この「経験の証明」プロセスです。
口頭で「私は20年、石屋としてやってきました」と伝えるだけでは、残念ながら許可は下りません。その経験期間中、継続して石工事に携わってきたことを、客観的な「書類」で裏付けなければならないのです。
- 工事請負契約書
- 注文書と請書
- 請求書の控え(工事内容が明記されているもの)と、その入金が確認できる預金通帳の写し
特に石工事の場合、お墓の建立など、個人のお客様からの依頼も多いかと存じます。その際に、「しっかりとした契約書を交わしていない」「請求書は発行しても、細かい工事内容まで記載していない」といったケースが非常に多く、いざ許可を取ろうとした時に証明書類がなくて困ってしまう、というご相談が後を絶ちません。
富山県の審査窓口でも、この実務経験の証明は厳しくチェックされます。過去の書類を何年も遡って探し出し、整理する作業は、まさに至難の業です。
面倒な手続きは専門家に任せる、という賢い選択
ここまでお読みいただき、「要件は分かったけど、書類集めが大変すぎる…」と感じられたのではないでしょうか。
社長様や職人の皆様の貴重な時間は、石の選定やデザインの打ち合わせ、そして現場での緻密な施工など、本来の専門業務にこそ注がれるべきです。慣れない書類仕事に忙殺され、本業がおろそかになっては本末転倒です。
そんな時こそ、「行政書士」にお任せください。 富山県で建設業許可を専門に扱う「行政書士子浦昇事務所」にご依頼いただくことで、お客様は多くのメリットを得ることができます。
建設業許可は、一度取得すれば終わりではありません。5年ごとの更新を忘れてしまうと、せっかくの許可が水の泡となります。そうした継続的な管理も含め、当事務所を会社の法務パートナーとしてご活用いただければ幸いです。
富山県での石工事許可なら、行政書士子浦昇事務所にご相談ください
今回は、専門性の高い「石工事」における、「専任技術者の要件」について詳しく解説しました。
- 石工事とは、石材やコンクリートブロックの加工・積方・取付工事全般を指し、墓石建立も含まれます。
- 専任技術者の要件は「国家資格」か「実務経験」の2パターン。
- 資格がない場合、学歴に応じて3年・5年・10年以上の実務経験が必要。
- 実務経験の証明には、長期間分の契約書や請求書などの客観的な書類が必須で、特に個人客相手の工事が多い場合は書類集めに苦労するケースが多い。
石という素材に向き合うように、一つ一つの手続きにも丁寧な対応が求められます。もし少しでも「難しい」「面倒だ」「自社の場合はどうだろう?」と感じられたなら、それは専門家に相談する良い機会です。
富山県での建設業許可の取得や更新手続きでお困りの方は、ぜひ当事務所へお気軽にご相談ください。 お客様がこれからも誇りを持って事業を続けられるよう、法務面から力強くサポートさせていただきます。
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