富山県内で建設業を営む経営者の皆様、そして日々の業務を支えるご担当者の皆様、こんにちは。富山県を拠点に建設業許可の申請サポートを行っている行政書士の子浦(シオ)です。
会社の事業拡大を目指す中で、「そろそろ建設業許可を取りたい」とお考えになることがあるかと存じます。その際に、避けては通れないのが「専任技術者」の設置です。
専任技術者は、その営業所に常駐し、工事の技術的な側面を管理する重要な役割を担います。いわば「会社の技術力の顔」であり、建設業許可を取得・維持するための”要(かなめ)”となる存在です。
しかし、この専任技術者の要件は、建設工事の種類によって細かく定められており、「誰でもなれる」というわけではありません。「うちの会社のあの社員は、専任技術者になれるだろうか?」と、頭を悩ませている方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、数ある工事種類の中から「土木一式工事」にスポットを当て、その工事内容から専任技術者になるための具体的な要件まで、分かりやすく丁寧に解説していきます。
まずは確認!「土木一式工事」とはどんな工事?
「土木一式工事」と聞くと、漠然と大きな土木工事をイメージされるかもしれません。まずは、その定義と具体的な工事例から見ていきましょう。
建設業法では、「土木一式工事」を「総合的な企画、指導、調整のもとに土木工作物を建設する工事」と定義しています。
ポイントは「総合的」という部分です。 これは、例えば「とび・土工・コンクリート工事」や「ほ装工事」といった単体の専門工事を指すのではありません。複数の専門工事を組み合わせて、大規模な土木工作物を完成させる、いわばオーケストラの指揮者のような役割を担う元請工事が典型的な例です。
【土木一式工事の具体例】
- 道路工事(道路改良、バイパス建設など)
- 橋梁工事(橋を架ける工事)
- ダム工事、トンネル工事
- 河川工事(堤防の建設、河川の改修など)
- 空港建設工事
- 土地区画整理事業、土地造成工事
豊かな自然に囲まれた富山県では、河川の氾濫を防ぐ治水工事や、山間部を結ぶ道路・トンネル工事など、これらの土木一式工事が社会インフラを支える重要な役割を果たしています。
【最重要】土木一式工事の「専任技術者」になるための要件
それでは、この記事の核心である「土木一式工事の専任技術者の要件」について解説します。 要件は、取得したい許可の種類が「一般建設業」か「特定建設業」かによって大きく異なります。まずは、多くの事業者が最初に目指す「一般建設業」の要件から見ていきましょう。
「一般建設業」における専任技術者の要件
一般建設業の場合、以下のいずれかのパターンに該当する人が専任技術者になることができます。
以下のいずれかの国家資格をお持ちの方は、実務経験がなくても専任技術者になることができます。資格証の原本を提示するだけで良いため、最もスムーズで証明が簡単な方法です。
- 1級 建設機械施工管理技士
- 2級 建設機械施工管理技士(第1種〜第6種)
- 1級 土木施工管理技士
- 2級 土木施工管理技士(土木)
- 技術士(建設部門、上下水道部門、農業部門(農業土木)、森林部門(森林土木)、水産部門(水産土木)、総合技術監理部門(建設))
指定された学科を卒業し、一定期間の土木一式工事に関する実務経験がある方も要件を満たします。
- 大学・高等専門学校(高専)の指定学科を卒業後、3年以上の実務経験
- 高等学校の指定学科を卒業後、5年以上の実務経験
※指定学科:土木工学、都市工学、衛生工学、交通工学に関する学科
学歴や資格がない場合でも、長年の経験で要件を満たすことが可能です。
- 土木一式工事に関して10年以上の実務経験
この「実務経験」は、ただ働いていたというだけでは認められません。その期間、実際に土木一式工事に携わっていたことを、客観的な資料(契約書、注文書、請求書など)で証明する必要があります。この証明が、許可申請における一つの大きなハードルとなります。
【元請・大規模工事向け】「特定建設業」のさらに厳しい要件とは?
発注者から直接請け負った一件の工事につき、下請代金の総額が5,000万円(建築一式工事の場合は8,000万円)以上となる下請契約を締結して施工する場合には、「特定建設業」の許可が必要です。 その分、専任技術者の要件も「一般」より格段に厳しくなります。
【資格要件】
- 1級 建設機械施工管理技士
- 1級 土木施工管理技士
- 技術士(一般の要件と同じ) (※特定の場合、2級の資格では認められません)
【経験要件】
- 一般建設業のいずれかの要件を満たし、かつ、
- 元請として、消費税込み5,000万円以上の土木一式工事に関し、2年以上の指導監督的な実務経験を有する者
指導監督的な実務経験とは、現場代理人や主任技術者、工事主任といった立場で、部下や下請業者を指揮・監督した経験を指します。これを証明するのは非常に困難であり、ほとんどのケースでは1級の国家資格で要件を満たすことになります。
実務経験の証明は想像以上に大変!専門家が注意点を解説
資格があればスムーズですが、「10年の実務経験」で専任技術者の要件を満たそうとする場合、特に注意が必要です。なぜなら、「10年間、土木一式工事に携わってきたこと」を、客観的な書類で、1年につき1件以上、切れ目なく証明しなければならないからです。
- 10年分の書類がすべて揃っていますか?
10年前の注文書や契約書、入金が確認できる通帳のコピーなどを、すべて保管しているケースは稀です。 - 工事内容を証明できますか?
請求書に「工事代金」としか書かれていない場合、それが土木一式工事であったことを別途証明する必要があります。 - 証明書類は誰のものですか?
他社での経験を証明する場合、その会社に協力してもらい、証明印をもらう必要があります。退職した会社に協力を依頼するのは、精神的にもハードルが高いかもしれません。
これらの書類を一つ一つ収集し、富山県庁の審査担当者が納得できるように整理・説明する作業は、多忙な経営者の皆様にとって、想像を絶するほどの負担となり得ます。
技術の証明は未来への投資。面倒な手続きは専門家にお任せください
今回は、富山県の建設業許可における「土木一式工事」の専任技術者要件について詳しく解説しました。
- 土木一式工事は、複数の専門工事をまとめる総合的な工事。
- 専任技術者の要件は「国家資格」「学歴+実務経験」「実務経験のみ」のパターンがある。
- 「特定建設業」では、1級資格など、より厳しい要件が求められる。
- 特に、実務経験の証明は書類収集が非常に煩雑で困難を伴う。
専任技術者の要件をクリアすることは、許可取得の第一歩に過ぎません。その後の申請書の作成、膨大な添付書類の準備、富山県庁への提出と、手続きはまだまだ続きます。
「要件は何とかクリアできそうだけど、この書類集めと申請は、本業の合間にはとてもできそうにない…」
それが、多くの経営者様の正直な感想ではないでしょうか。
その「面倒」「大変」「時間がない」をすべて解決するのが、私たち行政書士のような専門家です。建設業許可を専門とする私たちにご依頼いただくことで、皆様は煩雑な手続きから一切解放されます。
専任技術者の要件確認から、必要書類の収集、申請書の作成、そして富山県への提出まで、すべてをワンストップでサポートいたします。
専任技術者の件でお悩みの方はもちろん、富山県での建設業許可の更新手続きでお困りの方は、ぜひ当事務所へお気軽にご相談ください。
ご相談やお仕事のご依頼は下のウェブサイトからお問い合わせください!
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